本記事は別記事「小林快次先生の「恐竜まみれ」刊行記念トーク&サイン会に行ってきた(前編)」の続きである。
恐竜学者である小林快次先生の新刊「恐竜まみれ」の刊行記念トーク&サイン会に行ったときのことを書いているのだが、この後編は主にトークの後の質疑応答とサイン会のようすに関するものである。
小林快次先生のトーク後の質疑応答(Q&A)のようす
大半の質問は子供達からによるものだったが大人からの質問もいくつかあった。どの質問者も小林先生や恐竜についてよく知っていそうな方ばかりだったように感じた。息子にも聞きつつ自分の曖昧な記憶を頼りに思い出せる限り質問の内容を書き出してみたが、たぶん不正確な記録だと思うので鵜呑みにしないようご注意いただきたい。内容のみならず質問の総数も順番も実際のものとは異なっていると思うが雰囲気だけでも伝われば幸いである。
Q1) 最初の質問は前の方に座っていた小さなお子さんから。確か「かせきはどうやってつくるんですか?」というようなことを言っていたと思う。「博物館などにある化石の標本は偽物も含めどうやって作って(準備して)いるのか?」という意味なのかな~などと私は考えた。司会者さんは、これを「化石はどうやってできるんですか?」と言い替えて小林先生に投げかけた。小林先生の答えに対し、司会者さんが「(質問者が)ズコ~って言っていますが」と言っていたが、質問者は、より専門的な化学変化の話が聞きたかったのだろうか。それとも質問の意味が司会者の上記解釈とは違っていたのだろうか。時間が限られていたので三者のそれぞれにとって難易度の高いやりとりだったと思うが、実際はどうだったんだろうね、と後で息子と語り合ってしまった。
Q2) こちらもお子さんからの質問で、「○○サウルス(自分が素人すぎて名前失念)のとさかはなぜあるんですか?」というような内容。小林先生は逆にこの質問者さんに質問を投げかけ、そこから正解を導き出す形で質問に答えていた。さすがである!
Q3) こちらもお子さんから。「むかわ竜にもデンタルバッテリーはあるんですか?」というような内容。本当に「むかわ竜」と言っていたか自信がないが、確か日本の恐竜の名前だったし「恐竜博2019」のみどころでもあるようなことを小林先生がおっしゃっていたような気がするので「むかわ竜」だと思うのだ・・・。小林先生が「デンタルバッテリーって恐竜の口の中にある予備の歯のことね?」(私の心の声:解説してくれてありがとう!デンタルバッテリーなんて知らんがな!)というようなことをおっしゃっていたことだけは覚えているのだが肝心の回答が思い出せない・・・。でも確か「ある」だったのではないかと。
Q4) 司会者が今度は大人からの質問はいかが、と言ったので、大人からの質問も登場。「いつも○○(アウトドアメーカーの名前)のものを着用されているようですが何か理由があるのですか?」というような内容だったと思う。ちなみに、この日の小林先生の服装は「恐竜まみれ」の本の帯のご本人のカラー写真の服装と全く同じ。会場に入ってきた途端私は気づいてしまったのだが、ちゃんと小林先生自らここでそのサービスについてアピールされていた。子ども達にも瞬時に「あ、あの本を書いた人が本当に目の前にいるんだ!」ってわかってもらえるからかな~と勝手に思っていたのだが、実際はどうなのだろうか。
Q5) お子さんからの質問。「海底の化石はどうやって発掘するのですか?」か「海底の化石も発掘する予定はありますか?」というような内容だったと思う。アラスカで潮が引いたときに現れる海岸沿いの地層から化石を発掘するような話もトークでされていたので、質問者が考える海底発掘の日も遠くはないのかもしれない。
Q6) 確かお子さんから。「今まで行った国の中で一番良かったのはどこですか?」と質問。「〇〇〇〇〇〇。」と小林先生。「〇〇〇〇〇〇は、アルゼンチノサウルスや○○サウルスや○○サウルスなどの恐竜の化石がたくさん発掘されるし、ワインも食べ物もおいしい(ここ重要)。」とのこと。〇〇〇〇〇〇はワインも食べ物もおいしく物価も安い、という話はワイン好きの知人からも聞いたことがあるので、この回答は妙によく覚えている。「〇〇〇〇〇〇の『サウルスワイン』は本当においしくて日本でもネットで買えるからぜひ試してみて。」とも。私は下戸なので試飲できないのだが、下記のリンク先に小林先生が飲んでいらっしゃる銘柄のものはあるだろうか?早速夫の誕生日に1本注文してみた。
その場でできそうな質問を思い浮かばなかったので私は手を挙げなかったのだが、私が気になったのは次のようなこと。くだらなさすぎて申し訳ない。まだ読んでいる途中である新刊「恐竜まみれ」に答えのヒントがあるものも含まれているかもしれない。
・今までの発掘の道中で見た一番美しい景色は?
・発掘に必要な道具以外の旅の必需品は?
・小林先生のご実績を考えると世界中で引手数多&より良い待遇は得られそうにも思うが、北海道大学に所属することを選んだ理由は?北海道をはじめ、日本にはまだまだたくさん化石が埋まっている可能性があり、それらの発見は小林先生の使命とお考えだからか?
・発掘の際、これは誰の手柄になるか、ということでもめることはないのか?(もめない人を選んで出かけるのか?)
・仕事のうち苦手な類のものはあるか?例えばテレビ取材など。
・過去に(うちの息子のように)化石を自分のために取っておきたい、有名になりたい、という気持ちを持ったことはあるか。
・大自然での発掘は環境への配慮や環境破壊を最小限にするための専門知識や技術が必要になると思うが、国立公園のスタッフ同伴で発掘に行ったりするのは熊対策のみならずそれが理由か。
・ご専門はなぜオルニトミモサウルス類?
小林快次先生のトーク後のサイン会
会場に入った際に係員が希望者に配ってくれる紙にサインの宛名を書いておいて、それをサイン会で自分の順番になったときに係員に渡すと、その紙を見ながら小林先生が本にサインをしてくれる流れになっていた。紙には息子の下の名前だけを漢字で書いたものを係員に渡したのだが、小林先生は、
Dear ○○-kun
“Carpe Diem”
Y. Kobayashi
とサインしてくれた。てっきり漢字で書くかと思っていたので、恥ずかしそうによそ見をしている息子に思わず「あ、英語で書いてくれてるよ~、ほら~。」と声をかけたら小林先生が「あ、(漢字じゃなくて)いいかな?」と言ってくれたが、もちろんそれで良かった。”Carpe Diem” が英語ではないことはわかったので何て書いてあるのかご本人に聞いてみた。ラテン語であるとお答えいただいたことは覚えているのだが、その意味までは緊張し過ぎてちゃんと頭に残せなかった・・・。この記事執筆にあたり検索したところ、Wikipedia様によれば
その日を摘め(そのひをつめ、ラテン語: Carpe diem、カルペ・ディエム)は、紀元前1世紀の古代ローマの詩人ホラティウスの詩に登場する語句。「一日の花を摘め」、「一日を摘め」などとも訳される。また英語では「seize the day」(その日をつかめ/この日をつかめ)とも訳される。ホラティウスは「今日という日の花を摘め」というこの部分で、「今この瞬間を楽しめ」「今という時を大切に使え」と言おうとしている。
ということらしい。うん、小林先生らしい気がする。ありがたや。
(後でネットの記事を読んで知ったのだが、小林先生は1989年公開の映画Dead Poets Society(邦題:「今を生きる」)を悩める学生時代に見て、その映画の主人公である教師が生徒たちに伝えた言葉Carpe Diemに感銘を受け、好きなことを見つけて突き進もう、と思うようになったようである。これが小林先生の座右の銘の1つとなっているらしい。この映画は私も高校時代に観たので印象に残っているのに肝心のCarpe Diemは忘れていたらしい・・・。同世代だな~とさらに親近感が増すのである。)
なお、サイン会では、会場の前列から順番に案内されて列に並ぶので混乱もなかった。
驚いたのは、ひとりひとりにかけてもらえる時間の長さである。会場には60人ぐらいはいたのではないかと思うのだが、1人ずつ又はグループor家族ごとに購入した本にサインをしてもらいながら進み、その間に小林先生に少し話しかけることも出来なくはないし、そのあとは各自のスマホなどで係員に小林先生との写真を(しかも念のためか2枚も)撮影してもらえるという大サービスぶり。このようなイベントに参加するのは生まれて初めてのことだったので、サイン会ってそんなものなのかもしれないのだが、その一連の流れの繰り返しを嫌な顔一つせずにゆったりにこやかにこなしていく著者を尊敬する。来週にはまた日本を離れてアラスカ(だったかな?それともモンゴルだったかしら?)に行かれる、というお忙しさなのに。
そんな感じでサインの順番が回ってくるまでが結構長かったので、もうサインいらないから行きたい(約束通り帰りに三省堂で立ち読みしたい)、と息子が言い出さないか心配だったのだが、なんとかサインをもらうことができた。まだそこまで恐竜マニアand/or小林先生マニアでもない私たちにサインも写真撮影もしていただくのは申し訳ないという気持ちもあったのだが、これをきっかけに息子がさらに恐竜に興味を持ってくれたらいいなと思い、待つのが嫌いな親子で結局並んでしまったのである。
NHKでも恐竜番組絶賛放送中!
NHKも恐竜関連の番組に力を入れているようだ。NHKオンデマンドで好きなときに無料でネットで見られる番組も増えているようだし、色々息子と一緒に見られたら楽しそうだ。
こんな本も見つけてしまった。気になる。
終わりに
今回のイベント、息子も私も楽しめて興味の世界が広がった感じがしたので行ってみて本当に良かった。今は亡き父のことをこのイベントをきっかけに色々思い出せたのも感慨深かった。
父は地学部卒で地質学を専門としていた。サラリーマンだったが非鉄金属を探す仕事をしていたので、出張先や赴任先である南米・北米・オセアニア・モンゴル周辺を含む世界のあちこちでテント生活も経験している。小林先生の話にもよく出てくる「グリズリー(熊)」への対策のためライフルを購入しカナダの当時の社宅の壁にかけていたことや母がそれを嫌がっていたことも覚えている。父は人と違うことをやりたがる性格だったが、そのおかげで日本で有数の鉱山を探し当てることに貢献できたのかもしれない。小林先生も、危ないし無理だからやめておけ、と周りに言われるようなこともあきらめずに挑戦しているのだろうな、と考えたら、そんな父のことも思い出したのである。もっと生きているうちに父からも色々な話を聞いておけば良かったなぁとまた思ってしまった。そんな昔のことまで思い出させてもらえたし、普段眠っている脳のあちこちが良い刺激をもらったような、そんな半日だった。
2019年後半は我が家も「恐竜まみれ」になりそうな予感がしている。肝心の本は最初は息子と取り合うようにして読んでいた。でも隙を見て私が先に読み進むと息子がメラメラとライバル心を燃やし(?)私から本を取り上げて読み出すものだから戦うのが面倒臭くなり、寝かしつけのときの読み聞かせの本に採用することにした。ますます読み終わるまで時間がかかったが、親子でゆっくりと楽しむことができた。
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